アトラス・オーソゴナル・テクニック(AOT)
H11・4・26
最小限の力で最大限の効果を生む
日本カイロプラクティックリサーチ協会々員
Dr.松浦 伸一Ph.D.
それは、コインをはじくほどの軽い力で環椎をアジャスト(骨変位を正常位置に戻す)
するテクニック(技術)である。
その効果は頸椎変位が及ぼしているすべての現象を解決する。
頸椎の後弯によって生じている骨変位と継続的な筋緊張を緩和させる。
頸椎の前彎消失が、どの様な骨変位を生んでいるのか。
まず後頭骨から頸椎、肩胛骨、上部胸椎、中部胸椎、後背筋群、起立筋と腰椎、仙骨の変位と言ったいわゆる頭蓋骨から下の体幹部分に影響を及ぼし、その影響が骨盤の変位とさらにそれは大腿骨の大転子の変位となり膝関節、足関節までの身体を構成しバランスをとっているすべての骨関節とそれに関わっている筋肉群に影響している。
頚椎が後彎してしまっていることからのもう一つの重要な影響は、脳全体をおおっている脳脊髄液の流れと圧力の低下と、脳幹に血液を送っている椎骨動脈の継続的な張力による血管の狭窄と細胞疲労がある。
脳幹は、生命維持のための重要な部位であり、この血液の流れが滞ることによる影響は、計り知れないものがあるだろう。
前彎の回復、つまり生理的彎曲の回復は、この現象を解決するものであるとも言える。
以上のことから、手術しかないと宣告されていた腰椎ヘルニアの症状改善はもちろんの事、膝関節症や、坐骨神経痛、股関節症、原因不明とされるメニエル症等にもその症状の改善が見られる。
また、内分泌系や免疫系の異常による多くの症状にもその改善が見られるのである。
肝機能障害や、アトピー症などにも改善例が出ている。
環椎の変位は前方変位、側方変位、そして回旋変位がある。
環椎の前方変位は、頸椎全体の前弯消失と、下部胸椎の後弯促進、腰椎全体の前弯消失あるいは後弯を促進する。つまり脊椎全体の生理的弯曲の喪失に大きく関わっているものである。
環椎の側方変位は、体幹全体の重心の左右バランスに大きく関わっており、左右肩峰ラインの傾きと左右骨盤ラインの傾きに大きな影響を及ぼしている。
そのバランス異常は、体幹を支えている各部位の継続的な筋緊張を強いることになるのは想像できるだろう。
筋緊張がさらに筋組織炎症そして関節炎へと進行していくことになる。
環椎の回旋は、ひとまとまりの頸椎全体の回旋、つまりねじれを生じ、後弯しているべきの胸椎全体のねじれを生み、前弯しているはずの腰椎のねじれを生み、そして仙骨の傾きと腰仙関節のねじれを生み、そしてそのねじれのバランスをとろうとして、骨盤のねじれを生じさせる。
つまり環椎の回旋をとることで体幹のねじれを攻略できるともいえる。
上記のことは、あくまでも表面上のことにすぎず、最も憂慮すべき事は、脊椎には脊柱管という脳細胞の一部である脳脊髄と神経の束の通り道がある。
それは、電話線の様に脳と身体すべての器官とを結ぶ情報網であり、連絡網である。
その通り道である脊柱管の狭窄を生じさせているという事である。
それも環椎の回旋や、側方変位は脳からのすべての神経の出入り口である後頭骨大孔と頸椎から下のすべての神経の通り道である脊柱管とのジョイント部分での狭窄を生じさせていることである。
体幹は、その狭窄を出来る限り取り除こうとするあまり、傾き、ねじれてバランスをとろうとしているだけなのだ。
従って環椎の影響が身体のすべての機能に関わってしまうことは、仕方のないことである事を想像できるだろう。
神経の流れについて
神経は一般的に(特殊な脊髄反射を除いて)身体の外部の情報を常に脳に取り入れて、その対処法を判断し、身体の各器官に指令を出して筋肉を動かしたり、内分泌を促している。
例えば、歩いているときに目の前に段差があるとすると、その段差の高さの情報を目で取り入れて、その段差をクリアーするために「右足を数センチほど通常歩行時よりも高くあげなさい」と言う指令を出すことだろう。そしてその指令を受けて筋肉を動かし、右足を数センチ上げようとするのだが、…
その神経の流れが100%伝わらず、80%だったらどうだろうか。
まず、目からの情報を100%としたならば、「右足を数センチほど上げなさい」と言う指令が80%の指令となり、さらに筋肉を動かすときに80%しか動かせない結果になるならば、80%のさらに80%で、全体の64%しか伝わらないことになるだろう。
そして頭ではその段差をクリアーしているはずが、なぜかつまづいてしまうという結果を生じさせる。
外からの細菌が体内に入ったときはどうだろうか、また、けがをしたときの回復力はどうだろうか、身体の為にと思って取った栄養に対しての吸収力についてはどうだろうか、外気温の変化に対しての対応力はどうだろうか、等々、神経系の異常がもたらす影響は言うに及ばないのである。
カイロプラクティックでは、椎骨のズレが椎間孔(脊柱間からの神経の出入り口)の狭窄を生みその神経に関わる器官の不全をも生じさせると考える。
そして、胸椎の何番がズレている、腰椎の何番がズレていると言った局部的判断を下し、その椎骨に対してアジャストをおこなうのである。
しかし、経験と知識のあるカイロプラクターは、それさえも対症療法である事を認めなければならない。
なぜその椎骨がズレなければいけなかったのかという、より根本的な原因を探っていかなければいけないのである。
なぜアトラス(第一頸椎)に変位が生じたのか
日頃の体幹に対しての重心の位置が固定してはいないか。
姿勢のくせや同じ仕事を続けて筋肉のバランスを崩してはいないか。
事故や転倒で衝撃を与えてはいないか。
成長期に栄養や運動の偏りはなかったか。(これは身体を支える筋力の低下と骨変位を生じさせやすい)
幼児期に同じ方向で寝てはいなかったか。
出産時に偏った力が頭蓋骨及び頸椎に加わってはいないか。また、胎児の時に…
以上の様な外的要因が考えられるが、これを考えてみてもすべての人が左右対称ではないようにそれなりの要因を誰もが持っているのである。
また骨だけでは身体は重力に対してバランスをとる事は出来ない。
すべての骨には筋肉がついており、骨の位置はすべて筋肉の拮抗作用によって決定されている。
従って、いかに筋肉のバランスをとるという事が肉体をより良い状態に保つためには必要となるのである。
アトラスオーソゴナルテクニックの影響
症状の改善はもちろんの事であるが、このコインをはじくほどの力には似合わず、全身のバランスまで改善してしまう影響力があるために、施術後、人によっては身体全体のだるさを訴えるかもしれない。施術の翌日に疲労感を感じるかもしれない。
いずれにしても施術の結果身体の今まで感じていなかった不都合に対しての感覚がよみがえり、回復力を高めていくための身体の反応であるので、十分休んでもらいたいのである。
必ずその後の回復力が今までにない爽快感となって体感していただけることだろう。
ひとたびよりよい状態にまで回復する力があることを認めたならば、それを維持するためにどうするのかを考えていくことが必要となる。
それは生活習慣を変えることかもしれないし、考え方を変えることを要求しているかもしれないが、いずれにしても悪い状態に戻らないための努力は必要となるであろう。
「努力=つらいこと」といった公式はここでは当てはまらないだろう。
結果の得られる保証のない努力は確かにつらいものであるが、ここでの努力は必ず良い結果になって帰ってくるのだ。
それは他人に対しての思いやりと同じように自分の身体に対しての思いやりであることに気が付いて欲しい。
それこそ自分の身体に責任を持つことであり、他人任せの治療から離脱しなければならないことの気づきなのである。
そして、身体の症状が本人の意識に訴えている声を聞き、認めたときに、自分にとって何が良い状態なのかを知ることが出来、命を生き生きと生かすことが出来る満足感が生まれてくるのである。

